司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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論文が不合格だった人の勉強法

司法試験の発表がありました。不合格だった人はかなり精神的にキツいと思います。

しかし、来年の試験まで7ヶ月程度しかありません。来年の合格を確実にするには、すぐにでも対策を立てて勉強のエンジンをかける必要があります。
以下、順位等によるタイプ別の対策を書いておきます。
 
応急対策として、まず、択一が1800番以下の人は、「基本書の読み方−その2」と「短答の勉強の仕方の基本」 択一が不合格だった人の勉強で紹介した方法で択一過去問を徹底的にやりこみましょう。この過程で教科書を読み込むことになり、論文基礎力も固めることができるので、行政・会社・民訴・刑訴もやりましょう。
 
また、論文試験で途中答案があった人、時間不足で答案がボロボロ(特に答案後半)になった自覚がある人は、「筆力」を鍛える有用性と即効性に書いた方法で、早く書く練習をしましょう
 
そして問題の論文試験対策です。
 
第1に、順位の通知が来る前に、木山泰嗣「センスのよい法律文章の書き方 」を3回くらい通読しておきましょう。
「そこそこ知識があるのに論文の点が伸びない」人は、まさに「答案の書き方」に問題があるということです。本書で、法律文書の論理展開、理由付けの書き方などを確認しましょう。
 
第2に、いわゆる「法的三段論法」を意識して確認しましょう。
司法試験受験生がよく言う「答案は法的三段論法で書く」という言説はかなり一面的で額面通り受け取ってはいけないのですが、他方で法的三段論法を全く無視した答案はあり得ないことは事実です。そして、知識があって論文の点が伸びない人の中に、法的三段論法を再確認すべき人はかなり多いのも事実です。
法的三段論法については、色々本がありますが、手っ取り早くは、寺崎嘉洋「刑事訴訟法 第3版」p333〜(法的三段論法ってなによォ)を読むといいと思います。「事実と前提(要件)を行ったり来たりする」という、三段論法適用の実際がよくわかります。
 
また、同じことですが、民訴の教科書で直接事実と間接事実の意義を再確認しましょう。
全教科で、要件事実に直接該当する直接事実を摘示しているのか、間接事実を摘示して評価した上で、要件事実を推認しているのか、が不明確な答案は点が伸びません。
 
第3に、分野別の論文順位が3000番より下位の分野があった人は、その分野の基本書を1度通読しましょう。新しい本に取り組む時間は無いので、今まで読み込んできた基本書を読みましょう。
択一がそれなりに出来ているにもかかわらず、論文順位が3000番を下回るのは、科目の全体像がぼやけたイメージにしかなっていない可能性が高いので、基本書を通読することで、知識同士を有機的に関連付けて、科目の全体像を明確にイメージできるようにしましょう。
 
第4に、答案を時間を計って書き、その後「完全答案」に仕上げる作業をなるべくたくさんこなしましょう。これが最も大事です。
まず、当たり前ですが、司法試験に合格するためには、限定された時間内に問題文を分析し、答案を構成した上で、最後まで書き切ることが必要です。普段から、時間を計って答案を書くことを繰り返すことでしか、実践的な力は付きません。
 
また、完全答案に仕上げる作業をしない人がかなりいますが、それでは答案を書いた意味がほとんどありません。予備校が提供する参考答案や解説を読んで「勉強した」と言う人も多いのですが、同じく意味がありません。
自分が使っている基本書や判例集を使って、理論・論証・規範・事実評価の視点を答案に落とし込み、問題文の事実を拾った現実的な長さの答案を仕上げることでしか実力は付きません。予備校の資料で役に立つのは拾うべき事実の参考になる採点表くらいだと思います。
 
解く問題は、過去問が最優先です。過去問を全部解き終わっていない人は早急に取り組みましょう。1度解いた人も、過去問は2度、3度解いても新たな発見があります。
過去問以外だと、予備校の答練の問題のほか、下記の問題集を検討してみてください。
 

憲法

木村草太「憲法の急所―権利論を組み立てる 」 

 

行政法

大貫・土田「行政法 事案解析の作法 第2版

曽根・金子ほか「事例研究 行政法 第2版

 

民法

伊藤・山﨑「ケースブック要件事実・事実認定

 

会社法

伊藤・大杉ほか「事例で考える会社法

 

民事訴訟

藪口康夫「ロースクール演習 民事訴訟法

 

刑法

小林・島田「事例から刑法を考える 第3版

井田・田口・植村ほか「事例研究 刑事法Ⅰ 刑法 第2版

 

刑事訴訟法

井田・田口・植村ほか「事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法 第2版

 

数をこなすことが極めて重要です。毎日、1日1問2時間で解いて、5〜6時間で完全答案を作成して、残りの1〜2時間で択一の勉強をする、というサイクルを来年の試験ギリギリまで繰り返すことを強くお勧めします。

 

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