刑事訴訟法の第一歩(基本書・参考書)
刑事訴訟法は論点が多く、また、「学説と実務の乖離」が語られることも多いことから、とかく細かな議論に目が向きがちです。
しかし、全体像が頭に入っていない状態で細かな議論に気をとられると、理解が全く進みません。刑訴法が苦手な人は大体、このパターンです。
まずは刑訴法の全体像を頭に叩き込むべきです。そして刑訴法の全体像とは、事案の真相解明と被疑者・被告人の人権保護を軸に進められる「手続きの流れ」です。
例えば、逮捕→勾留→起訴という身柄拘束の手続きの流れがまずあって、その中で身柄拘束により真相解明を目指し、令状を要求することで被疑者の人権保護を図ります。そして、更に細かく見ると取り調べが適正か?を受忍義務の存否の議論を踏まえて論じるのです。
つまり、手続きの流れがわかっていないと、論点が何を対象とした何のための議論かがわからなくなり、刑訴法の理解が絶望的に進みません。
手続きの流れを頭に叩き込むには、三井・酒巻「入門刑事手続法 第6版」が極めて有益です。
①手続きの流れが分かりやすく説明され、②枠外に条数が書かれるなど条文を意識するための工夫がされており、③論点も手続きの流れを理解するため必要最小限言及されています。
この本を必ず条文を規則を含めて一々六法にあたりながら、初学者は3回くらい、刑訴の勉強に行き詰まってる人は5回くらい読んでから基本書に戻ると、かなりの収穫があると思います。
また、それなりにできる人も折に触れて読むと頭が整理され、答案の流れが良くなります。私は一気に読めば半日で通読できるようになるくらい、しばしば読んでいました。
- 作者: 三井誠,酒巻匡
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2014/03/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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