司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験へ

修習開始前の勉強メモ

司法修習に行く前の勉強について、修習生の立場から少し書いておきます。

なお、任官・任検志望の人など修習上位を目指す人は他のブログを参考にしてください。
また、私はまだ2回試験前ということにも留意してください。
 
まず、、合格後修習前は人生最後の長期休暇です。長期の海外旅行、語学研修など、就職後に出来ないことを最優先しましょう。実際、この時期に語学研修に海外に行った修習生はかなりいます。

 

民事事実認定

事実認定は民裁で直接問われ、民弁で前提とされる上、司法試験時代にはなじみがないので、苦労します。
 
司研民裁教官室「事例で考える民事事実認定」(白表紙)
通称「ジレカン」です。修習生活で何十回も読むことになる本です。
ぱっと見は薄くてわかりやすいのですが、民事事実認定はジレカンの理解が目標とも思える程に深い内容です。私は民事事実認定については「ジレカンを理解するために色々読む」というスタンスです。
ジレカンは修習前に5回くらいは読んでおくことを強くお勧めします。逆に言うと、修習前には民事系はこれだけでもいいかな、と思います。
薄いので5回読んでもそれほど時間はかかりません。
 
田中豊「事実認定の考え方と実務 」(民事法研究会)
どうしても、ジレカンの他にも読みたい人にはこちらをお勧めします。
ジレカンで引っかかりやすいところを、判例を紹介しながらわかりやすく解説されています。
 
ちなみに、修習中に読む事実認定本で人気があるのは、司研「民事訴訟における事実認定」、加藤新太郎ほか「民事事実認定と立証活動 第I巻 」「同 第II巻 」、奥田隆文・難波孝一編「民事事実認定重要判決50選等です。
 

要件事実

要件事実は民裁・民弁で、主張整理として事実認定の受け皿となるので、間違うと事実認定分を含めて大きな失点になるので、決して侮ってはいけません。
が、司法試験でかなり頑張った人は修習前には敢えてやる必要はないと思います。苦手だった人は、司法試験で使った要件事実の基本書を少し読み返しておきましょう。
ちなみに、修習では「読む」より演習の必要を感じる人が多く、村田渉ほか「要件事実論30講 第3版 」、岡口基一要件事実問題集 」、高須・大中・木納編「事案分析 要件事実 ―主張整理の基礎 」などが人気です。
 

公判前整理手続き

刑裁、検察、刑弁では、公判前整理手続きについて、「手続」だけでなく、「どのように主張と証拠が整理されるか?」の知識とイメージを持っておくことが必須です。司法試験ではなじみがないため、面食らう人が多いです(私もそうでした)。
 
司研刑裁教官室「プラクティス刑事裁判」(白表紙)
公判前整理手続きの実際、現在の実務の標準的運用が実際の記録に即して解説してあります。非常にわかりやすく、司法修習前に3度くらい読むことをお勧めします。必ず「記録編」を参照すること、条文も規則まで引くこと、に気をつけましょう。
 

刑事事実認定

刑事事実認定は刑裁、検察、刑弁で共通の必須スキルです。民事とはまたひと味ちがうので戸惑う人も多いです。
 
司研「刑事裁判修習読本」(白表紙)
修習中に10回以上読むことになる本です。「刑裁や事実認定について必要なことはだいたい書いてある」と評されていますが、逆に言うと実務修習を経て段々わかってくる感触がある本です。
修習前に読むと「よくわからない」という感想を持つと思いますが、「よくわからないけど、内容は何となく知っている」程度になっておくと修習中の勉強の指針になります。
修習開始前に、2,3度読んでおくことをお勧めします。実務修習中や実務修習終了後に読み返すと、また別の本を読んでいるような感じすらしますので、この段階で理解することに焦る必要はありません。
 
ちなみに、修習中(特に刑裁修習)には、小林充・植村立郎編「刑事事実認定重要判決50選〔第2版〕(上) 」「同 (下)を強烈に読みたくなる修習生が多く(私もです)、その後何回も読むことになります。
 

刑事系その他

検察については、
司研検察教官室「検察終局処分起案の考え方」(白表紙)
を何十回も読むことになります。
起案の形式だけでなく事実認定について多角的に考えることにも有益な本です。
しかし、まずは公判前整理手続と事実認定の基礎を学ぶことが先決なので、導入修習で検察講義を聞いてから読んだ方がいいかな?とも思います。
 
刑事弁護は、
司研刑弁護官室「刑事弁護講義ノート」(白表紙)
が基本テキストで、修習中に10回以上は読むことになります。「裁判所の事実認定手法を前提に、検察の立証構造を把握して、弾劾する」という基本についてわかりやすく書いてあります。
しかし、刑弁についても公判前整理手続と事実認定の基礎を学ぶのが先決なので、導入修習の刑弁講義を聞いてからでもいいかな?と思います。
 
 
にほんブログ村 資格ブログ 司法試験へ