司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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司法試験後発表までの勉強

司法試験を受験された皆さん、お疲れさまでした。
 

司法試験後、発表まで約3ヶ月半という長い時間があります。

合格に自信がある人は海外旅行にでも行けばよいですし、不合格を確信している人は今まで通りの勉強を続けるべきです。
 
問題は、「合格してると思うけど、自信が無い」という人です。私もそうでした。
このタイプの人の選択肢の1つとして、「司法試験にも役立つし、司法修習にも役立つ」勉強をすることが考えられます。
私はまだ、司法修習の途中であり、2回試験を受けていませんが、現時点で上記に当てはまる勉強を以下に書いておきます。
 
なお、修習との関係では、民法と刑事系が優先です。
 

民法

岡口基一要件事実マニュアル 第1巻( 」「要件事実マニュアル 第2巻 」の通読

 
「最近の司法修習は、事実認定重視で要件事実軽視」との言説がありますが、実感としては正しくありません。
事実認定の前提として主張整理をせねばならず、そのためには要件事実をがっちりやる必要があるからです。起案でもしっかり問われています。
 
岡口・マニュアルを引きながら勉強した受験生は多いと思いますが、この機会に通読を強くお薦めします。
読み進めながら解釈論でわからないことがあれば、基本書をチェックしましょう。また、当該要件事実がなぜkgなのかEなのかについての記述も読み落とさないよう気をつけ、場合によっては大島眞一「完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉に戻るようにしましょう。
 
 
村田渉ほか「要件事実論30講 第3版
 
要件事実をもう少し学びたい人は、30講の第2部を「演習書」として使って勉強することをお薦めします。
岡口・マニュアルを「読んだだけ」では、要件事実を主張整理に使えるようになっていない場合が多いからです。
司法試験の勉強としては、ややオーバースペックかもしれませんが、要件事実が得意にしておくと民法・民訴法・会社法の点が確実に上がりますので、取り組む価値は大きいと思います。
 
ちなみに、修習生になると要件事実・主張整理については、岡口基一要件事実問題集高須・木納・大中ほか「事案分析 要件事実 ―主張整理の基礎に泣きながら取り組むことになります。
 
 
 
要件事実より解釈に重点を置きたい人は、岡口・マニュアルの次は、内田・判例集を読むことをお薦めします。
「合格してると思うけど」という人は、基本書はかなり読み込んでいると思うので、ある程度の数の判例を読むことで解釈論を確認することが有益です。
司法試験の民法のレベルは、百選だけでは全く足りないですし、判例をたくさん読むことで応用力がつきます。
修習でも幅広い判例を理解していることは、当然のこととして要求されます。
内田・判例集はこのような目的に最適の質と量を備えています。取り組むに当たっては、条文だけは必ず六法で確認しましょう。
不安なところは、基本書に帰ることも大事です。
 
 

刑事系

 
司法試験の刑法・刑事訴訟法は長文の問題から間接事実をたくさん拾い、評価してあてはめることが要求されます。
したがって、事実認定の勉強は点に直結します。司法修習でも事実認定はメインの勉強の1つです。
50選は、刑法・刑訴法の解釈論と事実認定を結びつけて理解でき、しかも事実認定の基本的な考慮事項を基礎から説明してあり、司法試験にも司法修習にも非常に有益な本です。
供述の信用性など一部司法試験からはやや外れるものもありますが、さほどの量はないので、負担にはならないと思うので、是非上下巻通読をお薦めします。
 
 
 
刑事訴訟法については、司法試験で使っている人も多い実例・刑訴をお薦めします。
論点についての深い考察はもちろん、手続きの実務が解説されており、司法試験にも司法修習にもとても役に立ちます。
この時期ならば、今まで手薄だった公判前整理手続き等に重点を置いたり、証拠法なら証拠調べの具体的手続きに着目したりするとよいと思います。
 
なお、Ⅰ(捜査法)の代わりに、増補 令状基本問題〈上〉 」「増補 令状基本問題〈下〉を読むのも選択肢の1つです。やや古い本ですが、捜査法については基本文献です。修習にも役立つことはもちろん、司法試験に出題される論点についての深い実務的な考察がなされています。
但し、かなり難しい内容と感じる人もいると思います。
(ちなみに最近増刷されたので、入手については出版社に直接尋ねた方がいいと思います。)
 
 

執行・保全

藤田広美「民事執行・保全
または
 
 
修習では執行・保全法を扱います。弁護修習で起案する人も多いです。そもそも、紛争の最終的解決を担う法曹の修習なので、執行・保全法は必須な上に2回試験にも出題されます。
司法試験との関係では、

司法試験で執行・保全法を学ぶ意味(基本書・参考書) - 司法修習生Higeb’s blog

で書いた通り、民訴法や担保物権法の深い理解につながるので、学ぶ価値が大いにあります。
 
藤田・民訴を基本書にしていた人やコンパクトな本を読みたい人は藤田先生、書式を含む実務のある程度詳しい情報も学びたい人は平野先生を選ぶと良いと思います。
 

選択科目の代表的な書籍

修習(特に弁護修習)でも司法試験の選択科目は自分が特に詳しい分野なので、民事・刑事問わず主体的に関わることが可能です。
司法試験では、コンパクトな本で勉強した人が多いと思うので、この期間に重厚な本を読むことは有益です。司法試験にも役立つことはもちろんです。
 
具体的には、
租税法だと、金子宏「租税法<第20版>
倒産法では、伊藤眞「破産法・民事再生法 第3版または藤原総一郎ほか「倒産法全書(上)〔第2版〕 」「倒産法全書(下)〔第2版〕
などが有力な候補です。
 

その他の司法試験科目の代表的な書籍

司法試験科目は実務でも重要な法律分野なので、この機会に実務で参照される代表的基本書を読むことはとても有益です。
司法試験に役立つことはもちろんです。
 
会社法なら、江頭憲治郎「株式会社法 第6版
等です。
 
 
 
 
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