司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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民法演習は「ケースブック要件事実・事実認定」で

民法を苦手にしている司法試験受験生はかなり多いと思います。

苦手な人の原因の大半は実は基礎的知識が不足していることにあります。
したがって、苦手な人は演習に取り組むのと併行して、「基本書の読み方−その2」と「短答の勉強の仕方の基本」 - 司法修習生Higeb’s blogで書いた方法で択一の過去問等を解きながら基本書を読むという作業を地道にやりましょう
 
では、演習には何を使うか?です。過去問に取り組むことは非常に有益な選択肢です。
 
しかし、私はあえて伊藤滋夫・山崎敏彦編「ケースブック要件事実・事実認定 」に取り組むことを強くお薦めします。同書は、比較的長文の問題を、実体法の解釈・論点を要件事実を使って分析し、事実をあてはめて結論を出す、という司法試験民法で問われる一連のプロセスのすべての訓練が出来る、極めて有益な良書です。
特に要件事実の問題と実体法の解釈・論点の片方に偏らず、程よく両方問題になる点は秀逸です。
 
解説も上記プロセスにしたがい、訴訟物を論じ、要件事実を分析し、論点についての解説がなされていて、非常にわかりやすく、叙述の順序が民法答案の思考の順番となるので、答案作成力が非常に高まります。
 
解説でもう1つ特筆すべきは事実の見方が学べることです。当該事案の特殊性はもちろん、判例がどのような事実を背景に判断を下したかに着目して事実を分析していく記述は、事案を読み解き、適切な法律構成をするという法律学の基礎の基礎をしっかりと身につけさせてくれます
特に、「暗記した要件事実に問題文の事実をそのままあてはめる」というタイプの答案を書く人=それなりに書いているのに点が悪い人、は同書 に取り組む効用はかなり高いと思います。
 
 
また、同書 は解説が付されている問題だけでも30問程度あり、それなりにボリュームがある代わりに民法の全分野を一通り網羅している点も非常に有益です。民法は範囲が広いため、全分野が得意な人はかなり少なく、不得意分野が複数ある人がほとんどです。本試験で不得意分野が出題されて、致命的な失点をすることは避けなければなりません。
論点等が異なっても、全分野を書いたことがあれば、思考枠組みや事実の見方がそれなりに出来ているので、手堅い答案が書くことが出来ます。
 
上記のような効用を最大限得るために、パソコンを使ってもいいので、是非、全問フルスケールの答案を書いてみることを強くお薦めします。
 
また、答案を検討する際は必ず、①岡口・要件事実マニュアル <1><2> で要件事実をチェックし、②基本書で実体法の基礎事項と論点の解説をチェックしましょう
解説だけを読むよりも、はるかに理解が進みます。
 
なお、ローによっては問題集を使った自主ゼミを教員が指導してくれるところもあると思います(私の出身ローはそれが盛んで、参加してものすごく実力が付きました)。
そういう場合、松岡・山本・潮見「民法総合・事例演習 第2版 」(いわゆる「京大本」)を使うことが多いと思います。2年生であればそれもいいと思いますが、3年生前の春休み以降であれば、是非、ケースブック要件事実・事実認定 の練習問題を使うことをお薦めします。解説は付いていませんが、司法試験に直結した良問が多く、取り組む価値が高いので、指導者がいる勉強会には最適です。
 
 
 

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