司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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「刑事事実認定重要判決50選」を基本書にしよう!(基本書・参考書)

司法試験の刑法は基本的な制度理解と論点への言及に加えて、間接事実の拾い方・評価の仕方が極めて重要です。

また、間接事実の拾い方・評価は刑法の解釈に直結することが多い点にも注意が必要です。
 
例えば、因果関係が問題になる場合、「因果関係」の要件にあてはまる主要事実はほとんど考えられません。たくさんの間接事実を「認定」した上で、それがなぜ因果関係の(不)存在を推認することになります。そこで当該間接事実がなぜ因果関係の(不)存在を推認できるか?を論じるのが事実の評価ということになります。
そして、その評価の指標は刑法上の因果関係が①条件関係の存在と②帰責相当性からから判断されるという「解釈」の下、判例の定式(と思われる)=行為の危険が結果に実現したか?を判断します。その際には、学説である相当因果関係説を参考に介在事情の異常性等の基準で間接事実を整理・評価します。
 
このように刑法答案で非常に重要な事実認定・評価を基本書で学ぶ刑法理論と有機的に関連させつつ学べるのが、植村立郎・小林充編著「刑事事実認定重要判決50選〔第2版〕(上) 」「刑事事実認定重要判決50選〔第2版〕(下) 」です。司法修習生にも人気の本ですが、司法試験の刑法対策に非常に有益な本です。
高名な刑事裁判官の共著ですが、学説(特に西田説)を非常に意識し、その成果を実務に取り込んでいるため、基本書中心に勉強する司法試験受験生が「長文で間接事実が沢山散りばめられている本試験問題を解く」という次のステップに、基礎理論を応用するという観点で踏み出すことを可能にする、非常に重要性の高い本です。
 
上下巻あり、量に怖じ気づく人もいるかもしれません。しかし、司法試験に関係するのはごく一部で読むのに時間は関係するのはかかりません。
具体的には、1(不真性不作為犯)、2,3(因果関係(1)(2))、4(正当防衛における急迫性)、5(正当防衛における防衛の意思)、6(正当防衛における防衛行為の相当性)、13(違法性の意識の可能性)、15(不能犯)、16(中止未遂)、17,18(共謀(1)(2))、19(共謀関係の解消)、22(強姦の成否(2))、25(殺意)、26,27(暴行・傷害の有無(1)(2))、31(窃盗における占有)、32(恐喝と強盗の区別)、33,34(詐欺罪における故意と商取引(1)(2))、35(背任罪における図利・加害の目的)、36(背任と横領の区別)あたりが、司法試験関係ですので読むといいと思います。
 

 




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