憲法判例の勉強の仕方(判例集・参考書)
で書いた通り、憲法の勉強は
芦部信喜「憲法 第五版 」、駒村圭吾「憲法訴訟の現代的転回: 憲法的論証を求めて (法セミLAW CLASS シリーズ) 」と判例を行ったり来たりするのが基本です。したがって、他の教科に比べればあまり意識せずに判例を読む機会が確保できると思います。なお、この際に使う判例集は、長谷部恭男ほか「憲法判例百選1 第6版 (別冊ジュリスト 217) 」「憲法判例百選2 第6版 (別冊ジュリスト 218) 」を薦めます。この段階では事案・判旨が短めの方が効率が良いからです。
次に判例にしっかり取り組もうとすると、駒村・憲法訴訟でやや消化不良となり違憲審査基準について混乱している人もいるかと思います。その場合は、少し古い本ですが、芦部信喜「憲法判例を読む (岩波セミナーブックス) 」の一読を進めます。元々一般向けの本ですが違憲審査について非常に分かりやすく書いてあるので、頭が整理されると思います。
また、最判平成24年12月7日 刑集66巻12号1722頁(いわゆる世田谷事件)の千葉補足意見は現在の最高裁の憲法判断の基準・方法についての考え方を詳説してあり、絶対に必読です。判例集に取り組む前にはよくわからないと思いますが、かならず何回か読んでおきましょう。判例集を読み進めるうちにじわじわ理解が進みます。
判例に取り組む際に使う判例集は、戸松ほか「憲法判例 第7版 」を薦めます。事実がしっかり書いてあり、引用もかなり長いので、人権の性質等から合憲性判断の方法等を導出し、事実をあてはめる、という基本的な流れがよくわかるからです。全部読む時間が取れないひとは、百選と重複する判例のみを読んでもかなり勉強になります。
最後に、判例の事案を見て答案を作成際は必ず駒村・憲法訴訟を見ながら「型」を意識して書きましょう。憲法答案はまずは型を身に付けることが大事です。また、薬事法違憲判決は必ず答案にしましょう。型を身につけるのに非常に好適だからです。