司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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刑法判例の勉強の仕方(判例集・参考書)

刑法の判例を勉強する意味は2つあります。各論点についての判例による処理を学ぶことと、構成要件判断(擬律判断)を間違えないようになることです。

 
第1の論点についての判例の処理を学ぶことは、分かりやすいと思います。但し、刑法の場合、判例が特定の理論を一般的に展開していることが少ない点に注意すべきです。学説の対立について「判例は◯◯だから」、等とバカにする人が意外と判例がわかっていなことがあるのは、この点の意識が欠けるためです。
判例を読んだら、まず、自分の基本書がその判例をどう評価しているかを確認する癖をつけることが出発点です。基本書で「判例の考え方」が考察され、それに対し批評が述べられることで「判例の射程」がわかります。更に基本書の読み込みが深くなり、理解が非常に進みます。
その上で判例評論を読むと判例の全体像がかなりわかります。百選解説や調査官解説などありますが、私は山口厚基本判例に学ぶ刑法総論 」「基本判例に学ぶ刑法各論 」「新判例から見た刑法 第2版 (法学教室Library)を使うことをお薦めします(「新判例」は第3版が2015年2月下旬に刊行予定)。マニアックにならず、基本的理解を深くするという意味で非常に参考になります。判例の基礎的理解を扱っているので、行為無価値をとっている人も心配せず読むことができます。また、それほどボリュームがないので時間もかかりません。
この3冊と判例集、基本書を行ったり来たりして理解を深めましょう。
その後、百選の「事案の概要」を見て、総論の判例であっても各論の構成要件に事実をあてはめ→未遂・錯誤など総論の要件に事実をあてはめ、処理するという練習をしましょう。これをしないと判例の勉強が答案に生きません。
 
なお、要旨の暗記は百選判例のみでいいと思います(つまり200です)
 
第2の、構成要件判断(擬律判断)を間違えないようにする、というのは見逃す人が多いです。しかし、判例と全く同じ事案が司法試験で問われることはまずありません。違う事案であっても、適用条文=構成要件判断=罪名を間違えないことは刑法答案の前提です。ここで間違うといくら事実をあてはめようと、総論の論点を書こうとほとんど0点です。
この力をつけるためには、3年生後半からは問題をこなすことになります。しかし、その時点から、構成要件判断の訓練をするというのは、かなり遅きに失します。1,2年生のうちから対策を立てるべきです。そのための最良方法はたくさん判例を読むことです。第1の論点訓練の判例と違い、どのような行為がどのような罪に問われているかに注目しつつ、それほど深くは考察せず(時間がかかりすぎるから節約するという意味です)、たくさんの判例を読むことで構成要件判断の力をつけていくことが有益です。また、事件の処理をひたすら行っているのが判例なので、たくさん判例を読むと刑法の基本的な思考の流れが身につくという副次効果も有ります。
この目的のためには、西田・山口・佐伯「判例刑法総論 第6版 」「判例刑法各論 第6版を使うことを薦めます。掲載数が多いこと、論点についての判例が多く、ついでに論点に触れることができるため、効率がいいからです。
 
 

 

 









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