司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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刑法過去問に取り組む

刑法を深める-第1段階の演習(参考書・演習書) - 司法修習生Higeb’s blogで、書いた通り、刑法は過去問に取り組む前に、島田・小林「事例から刑法を考える 第3版を一通り解いておくことをお薦めします。

それを前提にすれば、過去問に取り組む主な目的は、事実の拾い方とその評価の仕方ということになります。
その視点での留意点を以下に書きます。
 
第1に、事実を拾い、評価するには受け皿となる規範が明確であることが極めて大事だということは、どの教科でもいくら強調しても強調しすぎることはありません。特に問題文に膨大な間接事実が書いてある刑法では、それを整理・評価するしっかりとした規範が不可欠です。
 
この際、規範をいきなり書くのではなく、趣旨・目的を一言書くことで、事実評価・整理の方向が決まる点が重要です。特に各論の各罪の保護法益からの演繹は必須です。
各論の勉強が、定義を覚えるのに終始してしまう人がかなり多いと思います。また、それでも最低限の点数は取れることもあるとも思います。しかし、それでは理由付けの点も入らず、何より事実を落とすことが多発し、本当に最低限の点数となってしまいます。本試験で他の教科で思わぬ失敗をすることも大いにあり得る以上、保護法益論を軽く見るのは得策ではありません。
総則の理論からの演繹と保護法益論が各論の適切な理由付けによる適切な規範・基準の源泉です。
 

第2に、規範と事実の認定・整理・評価は明確に区別しましょう。刑訴法を「要件事実思考」で考えるー演習の第1歩 - 司法修習生Higeb’s blogで書いた要件事実的思考を刑法でもとるということです。

条文の要件や判例の規範(不法領得の意思とは〜など)が(規範的)要件事実であり、規範に適合的な視点・基準から、事実を評価根拠事実と評価障害事実に分けて、判断する、と言うプロセスになります。規範は要件と同等ですから、全ての該当性を論じますが、基準はあくまで事実の整理の指標なので、適宜使い分けることになります。

第3に、事実整理・評価のための視点・基準の基本は基本書の記述であることを肝に銘じましょう。
事実の認定・評価には後述の「50選(上)同(下) 」 が大変参考になります。しかし、視点・基準も実体法の解釈が事実の評価・基準に投影されたものであることは、判例の規範と同じですまた、解釈から導出される基準はとても汎用性・応用力が広く、答案で使いやすいと言う点も重要です。
刑事実体法の解釈を説明してあるのが、基本書なので、基本書の視点・基準が最も使いやすい基準です。そのつもりで読むと、基本書には意外と事実整理・評価を意識した基準等が書いてあることに気付くと思います。
 
第4に、事実整理・評価については、小林充・植村立郎「刑事事実認定重要判決50選〔第2版〕(上) 」「同(下) 」が極めて有益です。同書は判例の規範(と考えられるもの)を出発点に判例・裁判例から事実認定・評価の基準を整理してあり、極めて司法試験向けです。「刑事事実認定重要判決50選」を基本書にしよう!(基本書・参考書) - 司法修習生Higeb’s blogで書いた通り、読むべき量も限られているので、是非、活用しましょう。
 
具体的には、①基本書で判例の規範や執筆者の規範を理由付けも含めて確認し、②基本書片手に50選を見て、基準を①で確認した規範・基準との関係を考えて、答案で使う、ことを繰り返すことで、司法試験刑法の実践的な答案を書けるようになります。
 
 


 

要件事実「論」を学ぶ(基本書・参考書・演習書)

要件事実の勉強は、①要件事実「論」を学ぶ場面と、②要件事実を「チェックする」場面に分かれます。

 
その内、要件事実「論」を学ぶのは、要件事実の基本を学び、要件事実思考の基礎を作ることが目的です。
 
要件事実論をどのくらい勉強するかについては、色々意見がありますが、要件事実を「使って」法律を学ぶという視点から私はかなりがっちり勉強すべきという考えです。
また、時期はローの民法の基本的な講義が終わったらすぐに始めるべきです。「要件事実論の前に民法をしっかり勉強しろ」という人も多く、一理あると思います。しかし、要件事実を「使って」、民法・民訴法・会社法を理解する利点を考えると、早くから要件事実論を学んでおいた方がいいと思います。特に、要件事実論を学ぶことで「要件」の大切さへの意識が高まることは、以降の勉強に非常に有益です。
 
要件事実でつまづかないために(基本書・副読本) - 司法修習生Higeb’s blogでも少し書きましたが、改めて勉強法を書いておきます。
大きく分けると、第1段階=基本書による学習、第2段階=演習、第3段階=深める学習、の3段階です。
 
なお、「要件事実の勉強はまず、司研「新問題研究要件事実を理解することから始めるべき」という人が多いです。が、私はあまりお薦めしません。意外と難しいこと、その割に解説が短いため、理解しづらいからです。
 
第1段階の基本書による勉強は、1年生の春休みに取り組むことを強くお薦めしますただし、民訴法の基本講義が2年次のカリキュラムの場合は、民訴法の予習(藤田広美「」の通読を勧めます)を先行させましょう。民訴法の基礎を知らずに要件事実論は理解できず、無理して取り組むと変な誤解をしてしまうからです。
 
ローの講義で、司研「改訂 紛争類型別の要件事実を使っている場合には、大江忠「要件事実ノート 」「要件事実ノート〈2〉重要判例と要件事実論を併用して予復習・定期試験対策をするといいと思います。
が、自習としての要件事実論の勉強の基本書には、大島眞一「完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉 」をお薦めします。非常にわかりやすく、丁寧な解説で初学者にとって学びやすいからです。また、基本的に研修所見解にしたがっており、司法試験受験生の「共通理解」に資するからです。やや、分厚いですが、初学者にわかるように重複を厭わず噛み砕いた記述になっているためなので、ビビる必要は全くありません。

同書を少なくとも3回は読んで、実体法の解釈については必ず民法の基本書に立ち返って確認しましょう。この過程が、要件事実の学習の全ての基礎となります。

 

この大島・民事裁判実務〈上〉民法の基本書を行ったり来たりする過程をどれだけバカにせずやるかで、要件事実を得意にするか不得意にするか、ひいては全ての科目で要件事実思考ができるか否かが決まります。

 

なお、同書のadvanceは初学者は読まない方がいいと思います。初学者には難しすぎるからです。ある程度、勉強してから読みましょう。

 

第2段階の演習については、そもそも演習の必要性に疑問を持つ人もいると思います。しかし、問題を読んで要件事実を整理する練習をすると、その過程で要件事実論の知識や理解が非常に深まるので是非、取り組むべきです。

 

使う本は、村田渉・ほか「要件事実論30講 第3版 」をお薦めします。基本的に研修所見解にしたがっており(貸借型理論を除く)、かつ、解説が詳細で学習には適しているからです。

同書は、1部は要件事実の総論、2部は言い分方式による問題と解説、3部は解答例のみが付いた問題、という構成です。大島・民事裁判実務〈上〉を読んだ前提であれば、1部は読まなくていいと思います。また、3部は解説がないため、初学者には不適当です。したがって、2部のみを問題集として使えばいいと思います。

 

やり方は、まずは何も見ずに問題を読み、請求の趣旨を書き、訴訟物を特定して、請求原因を書きます。請求の趣旨を書かない人が結構いますが、権利実現過程たる裁判の目標を考えないと、実体法・訴訟法の理解が進みません。必ず書きましょう。

 

次に、請求原因に対する認否を書きます。何が争点かを特定する作業です。

 

そして、抗弁を書きます。そして、それに対する認否を…と続きます。

 

書き終わったら、解説を読みながら自分の解答のおかしいところを直していきます。この際、必ず自分がなぜ間違ったかも特定しましょう。同時履行の抗弁権の存在効果を忘れていた、付款の証明責任の所在を勘違いしていた等です。30講 の解説だけではわかりにくい場合には、大島・民事裁判実務〈上〉 立ち戻って確認するのを厭うべきではありません

解く→間違う→解説・基本書で原因を特定する、の繰り返しで要件事実の力は飛躍的に付きます。

 

ここまでを、2年生の夏休み前までに終わることが理想ですが、遅くとも夏休み中には終わりましょう

 

第3段階の要件事実論を深める勉強は、3年生になる前の春休みくらい、ローの総合的・仕上げ的な演習講義が始まる前にやるといいと思います。要件事実論を深めることで、演習講義の学習をも深まるからです。

 

要件事実論を深めるのに最適な本は、岡口基一要件事実入門です。同書はかなり高度な議論を非常にわかりやすく書いてあるので、司法試験受験生が要件事実論を深めるのには唯一無二と言ってもいいと思います。

(私に語る資格はありませんが)要件事実論は良くも悪くも、司法研修所見解」を中心に議論が展開しています。そのため、司法試験受験生はまず司研見解を理解することが大事だと思います。大島・民事裁判実務〈上〉 の本文や30講の解説(貸借型理論を除く)も司研見解の立場で書かれています。

 

しかし、要件事実論が実体法と訴訟法の交錯領域であり、あくまで法解釈である以上、異なる見解はあって当然です。この意味では、判例と異なる学説を学ぶのと同様に、どこまでが同じ論理で、分岐の理由はどこか?を考えることで、応用力、言い換えると本試験の現場で条文や契約条項から要件事実を組み立てる力が付きます。試験は一発勝負なので知らないから書けないでは済みません

 

また、多様な要件事実論の論理を知ることで、要件事実を「使って」実体法・手続法を理解する手掛かり、ツールが増えることも重要です。

 

岡口・入門 は、要件事実の基礎的事項を根本から解説し、実体法理論(判例の規範)の根本的機能と趣旨を踏まえた要件事実が説明されており、今まで学んだ司研見解からの発展的思考と、逆に司研見解の整理されたクリアな理解が得られ、極めて有益です。

非常にわかりやすく、簡明な記述であり、全体のボリュームもコンパクトであることも特筆すべきです。従来は、要件事実を深く学ぶ=要件事実オタクになる≒合格が遠のく、という図式を主張する合格者が結構いましたが、岡口・入門 を使う限りはその心配はないと思います。

 

留意点は、この本を読んでわかった気になってはいけないということです。とてもわかりやすく、発展的な思考を学んだため、要件事実を極めた的な気持ちになりがちです。しかし、この後に問題を解く、判例を読む、基本書を読む際に、要件事実を考え、「チェック」し(別に書きます)、要件事実を「使って」各科目を理解することが、そもそもの目的であることを忘れないようにしましょう。


 

暗記の優先順位

内田貴教授が民法I 第4版: 総則・物権総論で指摘する通り、暗記と理解は車の両輪です。理解無き暗記は困難である上に意味が無く、暗記無き理解も、困難である上にそもそも「理解したことを忘れた」のであれば、答案は書けず、それ以上の理解も不可能です。

暗記は理解を助け、理解すると暗記しやすくなるというのが実態ではないかと思います。

とすると、問題は暗記をする優先順位ということになります。ロースクールが2,3年、司法試験が5年(5回)という有限な時間の中での勉強時間にはそもそも限りがあり、その内暗記に費やすことの出来る時間は更に限られるからです。

なお、「基本書や判例を読んでいるうちに自然と覚える・覚えるべき」ものは今回は除外します。よく出る条文文言や条数、各制度・条文の趣旨などです。逆に言えば、暗記のための勉強を別途すべきであるものを今回は書きます。

第1に、択一過去問については最優先で暗記すべきです。択一合格に必須ということもありますが、択一に出題されている知識は、答案を書く前提となるものが多いためです。
何度か書いている通り、基本書を読み込むツールとして解いて暗記し、6割程度出来るようになるまでは他の勉強に手を出すべきではありません。もちろん、最終的には過去問は全問暗記すべきです。
なお、今年から行政法、商法、民訴法、刑訴法が択一科目から外れましたが、それらの教科も過去問はしっかり解いて、暗記すべきです。論文試験に知識が必要な点は、憲・民・刑と変わらないからです。
択一をパスしないと論文が採点されず、択一科目でなくとも基礎知識なしで答案は書けないことから、択一過去問(事項)は、最優先で暗記すべきです。

第2に、条文に手がかりがない定義も早い段階で暗記すべきです。民訴法の「自白」、刑法の「不法領得の意思」等、結構多いです。
答案を書く上では、手がかりがない以上、暗記するしかありません。また、基本書や判例を読む際に定義がぱっと言えないと、理解できない、又は、読むのに非常に時間がかかり非効率です。

条文に手がかりがある定義(刑訴法の伝聞証拠の意義など)は、条文を引きながら基本書・判例に取り組む中で身につくことが多いのですが、手がかりのないものは中々身につきません。本試験では六法しか参照できず、条文に手がかりがない定義は覚えていないと、全く答案が書けないので、暗記の優先順位はかなり高いと思います。

第3に、判例要旨は百選判例については必要というのが私の考えです。
判例学習は再三書いている通り、要件事実的に行うことで、論点が絡む事案の処理方法を学ぶものです。その意味で「判例は事案ごと勉強すべきで、要旨では足りない」というのに賛成です。
しかし、それは代表的な判例の結論と要旨を知っていることが前提だと思います。基本書を読む際、他の判例を読む際に百選判例程度は結論と規範、簡単な理由付けくらいは頭に入っていないと、理解が進まないか、非常に非効率かのどちらかになる可能性が高いと思います。
「代表的な判例」の意味が問題ですが、百選判例と考えておけばいいのではないでしょうか?また、択一で問われる可能性が高く、択一対策にもなります。

本試験で答案を書く上で、判例要旨を覚えていると、判例の規範はもちろん、理由付けの言い回し、特徴的な事実の対比など、色々と便利に使えます。非常に応用力が広いので、判例要旨の暗記はとてもお薦めします。

なお、私は、民法については、百選判例では全然足りないと感じたので、重判掲載の判例も要旨を暗記しましたが、優先順位は下がりますし、特にお薦めまではしません。

第4に、論証パターンが問題となります。論証パターンの有用性には色々と意見があり、私も少なくとも長い論証パターンには、かなり懐疑的です。
旧試験のように長々と「論証」する必要がある問題が新試験では出題されたことがなく、また、規範は最終的には膨大な事実をどう整理するか?という視点から立てねばならず、「パターン」として暗記しても使えないこと、が主な理由です。また、予備校(本)が作っている論証パターンの中に、論証になっていない、論理的でなく、最低限の理由付けもない、にもかかわらず長いものが散見されることにも注意すべきです。

また、判例の規範や理由付け自体は判例要旨を暗記すれば済み、その方が応用力が広いと思います。
つまり、論証パターンの暗記の優先順位は低いと思います。

しかし、それでも「判例の規範の大枠」を現場で悩まずに書けるようにするために、論証パターンを覚えたい人もいると思います。私も、行政法原告適格や刑訴法の伝聞証拠法則の根拠→意義等は用意していました。

この場合、判例要旨は覚えている(はず)なので、論証パターンとして作成し、暗記するのは、極めて簡略(基本的にワンフレーズ・一行)かつポイントを絞った記述にすることが極めて重要です。例えば、行政法原告適格の意義を「原告適格は、法律上保護される利益をもつ者に認められ、それは①利益の存否→②その利益は根拠法令で形式的に保護されているか→③その利益は個別的利益か、に従い判断される」とするなどです。

そもそも考える時間を短縮するための論証パターンを使う場面は、書く時間も絶望的に無いはずなので、ワンフレーズにする必要があります。
他方で、その後に事実をあてはめなければならない以上、ポイントを外す訳にはいきません。

なお、ポイントを外さないワンフレーズの論証は、判例要旨の暗記と併せると、非常に応用力が広く有益です。判例の規範等に事実をあてはめる際に、ワンフレーズ論証を念頭に置くと、事実を整理しやすくなるからです。

刑訴法を「要件事実思考」で考えるー演習の第1歩

刑訴法の演習は過去問から始めるべきです。時期もなるべく早く、ロー2年の夏休みくらいから始めるべきです。

 
刑訴法の司法試験問題は、とにかく事実が膨大です。そして、任意捜査の規範(必要性・緊急性を考慮した相当性)を考えるとわかるように、要件に直接あてはまる主要事実はほとんど無く、間接事実からの推認が中心です。したがって、事実の整理と評価が非常に重要になります。
 
但し、事実を整理するためには、条文の要件と論点から導出される規範が明確になっていることか必要不可欠です。
受け皿となる、要件・規範が曖昧だったり、趣旨の理解が甘いと、事実を落としたり、本来適用すべきでない条文を適用したりして大きな失点となりやすいです。
 
更に、間接事実を適切に評価して、主要事実を推認するには、当該要件・規範の趣旨や目的の深い理解が必要不可欠です。答案で必要な事実の評価とは、事実と当該要件・規範はどのような関係にあるか?ということであり、それは結局、趣旨や目的に沿う事実かどうか?という判断だからです。
 
上記は特別なことではなく、刑訴法も要件→効果思考で、法文やその趣旨(解釈)から要件事実を導出して、要件該当性を1つ1つ判断し、効果が発生するかを判断するというに尽きます。
つまり、刑訴法を要件事実思考で考えるということになります。
 
以下、順を追って説明します。
 
第1に、問題となる条文(要件)、(判例からの)規範を出題趣旨・採点実感から特定します。当然のことのようですが、ここを疎かにして、刑訴法の答案がメチャクチャになっている人がかなりいます。
 
また、条文や判例の規範にはすべてに事実をあてはめることに注意すべきです。論点のある要件のみに気をとられる人がいますが、すべての要件該当性が肯定されてはじめて、効果が発生するという、要件→効果思考を意識しましょう。
 
また、このとき、ごく簡略に、条文・基礎概念からの説き起こしをすることが大事です。例えば、任意捜査の限界を論ずる前提として、強制処分法定主義→強制処分を定義→事案が任意捜査の問題であること、を書く(いきなり、「任意捜査の限界は必要性〜」と書かない)、ということです。出題趣旨・採点実感を基に、酒巻匡「基礎講座・刑事手続法を学ぶ」(いわゆる酒巻・新連載)(法学教室連載/355号~394号)や佐々木・猪俣「捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講 」、廣瀬健二編「刑事公判法演習: 理論と実務の架橋のための15講 」を参照して簡潔かつ必要十分な記述をしましょう。
簡潔な記述まで落とし込む程度の理解がないと、刑訴法が不得意になってしまうので、軽視せず、しっかりとチェックしましょう。
 
 
第2に、事実をあてはめる前に、酒巻・新連載・「捜査法演習 」・「刑事公判法演習 」の該当箇所を読み、趣旨→規範を確認します。上述のように事実を評価するための指針を得るためです。
 
基本書等では、判例と異なる規範を立てる、又は、判例の規範を詳細化してあることが多いので、それも併せてしっかりとチェックします。例えば、任意捜査の「必要性」基準について、嫌疑の高さ・犯罪の重大性・密行性等を挙げてあることが多いと思います。
 
また、各規範・考慮要素の背後にある人権保護vs真相解明を軸とする価値の対立・バランスを「具体的に」把握しましょう。捜査の必要だけで納得せず、証拠隠滅の危険・被害拡大の防止・他の捜査手段の乏しさ、ということまで掘り下げて各規範・考慮要素を理解する、ということです。
こうすることで、事案の通常性と特殊性が把握できるようになり、刑訴法の理解が深まると共に、膨大な事実の適切な整理・評価ができるようになります。
司法試験受験生用語でいう「下位規範」を、深く理解するということです。
 
第3に、事実の評価は、条文や判例の規範を「規範的要件(事実)」と捉えて、第2でチェックした基準(下位規範)ごとに、評価根拠事実(主要事実の推認にプラスの事実)と評価障害事実(マイナスの事実)に分けて整理します。この点は重要なので以下に分説します。
 
まず、事実をバラバラに評価することは、司法試験受験生は避けた方が無難です。いわゆる「総合考慮」を受験生がやると、事実から結論に飛躍しているだけのことを「総合考慮」と称しているに過ぎなくなることが多いからです。
 
また、事実を評価するとは、当該事実が刑訴法の基本的な制度趣旨や価値判断にとってどのような意味か?を考えることです。事実と刑訴法の制度趣旨・価値判断とを「行ったり来たり」しながら、事案や基本書を読み解くことが大事です。
 
受験生が地道に思考して、手堅く評価するには、第2でチェックした、判例を詳細化した考慮要素や、判例と異なる規範を、判例の規範へのあてはめのための「整理」の基準として使う=下位規範として使うことが大切です。基本書の考慮要素・規範は、当該条文・制度の趣旨から導出されています。判例を詳細化した考慮要素はもちろん、判例と異なる規範であっても、司法試験での学説の学び方 - 司法修習生Higeb’s blogで述べた通り、論理や思考、価値判断の大半は共有されています。したがって、条文や判例の規範に事実を当てはめるにあたっての重要な基準になります。
 
また、要件・規範の判断は、様々な間接事実から推認されますが、該当性にプラスの事実とマイナスの事実を考慮する思考は、民事要件事実の規範的要件の判断と似ています。したがって、各要件・規範ごとに評価根拠事実と評価障害事実を考えると、非常にわかりやすくなります。
 
事案を下位規範に沿って、評価根拠事実と評価障害事実に整理することは、他にも大きな効用があります。
 
まず、事実を落とさなくなります。「事実は自己の結論と反対の事実も落とさない」と、よく言われます。しかし、漫然と問題を読んで、規範定立→あてはめをして、というだけでは、中々難しいことです(そもそも結論が自分の思い込みに過ぎないことも多い)。
評価根拠事実と評価障害事実を意識すれば、受け皿があるので、事実を確実に拾えます。
 

次に、常識外れな結論になることが少なくなります。刑訴法は価値判断が前面に出るような誤解をしがちな科目です。私の周りにも「学説は捜査の必要性という実務の思考に反する」等と実務を知らないにもかかわらず、一面的な価値判断をしてしまう人がいましたが、刑訴法の基礎的理解も知識もないことを自慢しているようなものです。

前述の通り、刑訴法は、人権保障と真実解明という理念の対立とバランスが肝の科目です。

価値判断を前面に出した、思い込みの結論は法律を学び、司法試験受験生として「常識外れ」なことが多くなります。「結論に至る論理が大事であって、結論はどうでもいい」と言う人がいます。それはそれで正しいのですが、法律を学ぶ者の常識の枠内での結論である必要があるのも事実です。言い換えると、常識外れな結論は事実を落としていたり、整理・評価が間違っている、又は制度趣旨を誤解している可能性が極めて高いと思います。そうであれば点が非常に悪いことになります。

要件事実思考では、各要件の趣旨や目的を考えます。その上で、評価根拠事実と評価障害事実に整理すると、どちらがより強いかが視覚的にもわかりやすく、評価を誤りにくく、結論が常識の枠内となります。

 

第4に、効果論をしっかり考えましょう。この後にどんな手続きがあり、そこでどんなことが審理・判断されるか(これがぱっと頭に浮かばない人は、三井・酒巻編「入門刑事手続法 第6版を何度も読みましょう。)、そこでは結論がどうなるか?ということを意識すべきです。例えば、捜査が違法ならば、後続の勾留請求はどうなるか?証拠は公判で証拠能力が認められるが?、訴因の範囲外の事実があるなら、審理するためにはどうすればよいか?そのまま手続きが進めば、判決はどうなるか?等を、直接問われているときはもちろん、直接問われていなくても、頭の中で少し考えて、目の前の問題を解くことが重要です。

刑事訴訟手続きは、刑罰権の実現のための一連の手続きなので、最終的な結論まで一応考えてから判断しないと、考慮すべき事項を落としたり、重み付けを誤ったりする可能性が高くなります。

また、結論を想定せずに各要件・規範を趣旨から理解することは不可能です。この点は、基本書を読むだけでは感覚が掴みにくいので、演習でしっかり意識して学びましょう

この作業を面倒くさがらずに続けると、刑訴法の点数がかなり上がります。

 


 

「要件事実重視」-優秀でない人の戦略

このブログでは、民法会社法だけでなく、憲法行政法についても、個別法の要件事実を考え、事実をあてはめることを繰り返し薦めています。また、民事訴訟法については、民訴法そのものの要件事実はもちろん、民法等の要件事実を「使って」民訴法を理解することを薦めています。更に、刑法・刑事訴訟法でも、「要件事実思考」として、要件を確定して、主要事実・間接事実をあてはめることを薦めています。

このように非常に要件事実を重視する理由は、一言で言うと「優秀ではない人が、確実に合格するため」です。私自身が、ロー時代(今もですが)、全く優秀では無く、理解は遅く、要領も悪いタイプでした。
要件事実を「使う」ことで、法律を「地味だが着実に」理解し、「泥臭いが手堅い」答案を書けるようになる、と私は考えています。
以下に、理由や効用・留意点を書きます。

第1に、「法的三段論法」を身に付けることは、法律の理解(読む勉強)にも答案(書く勉強)にも極めて重要です。条文よ要件を特定し→論点があるなら論じて規範を定立し→事実をあてはめる(間接事実なら評価・推認する)という流れは、要件事実を考えて事実をあてはめることの繰り返しで身に付きます。論点についての論述も要件事実思考が出来れば、自ずと法的三段論法に則ります。

第2に、要件事実を考えることで、制度の基本的仕組みや趣旨を理解することが容易になる点も重要です。どんな制度か?の理解は、どのような場面で問題になるのか?という点の理解が前提です。場面とは具体的には、要件事実に該当する事実がある場面、ということです。また、当事者のどちらが何を主張・立証すべきか=要件事実は誰のどのような利益保護が制度の趣旨かという思考の結果なので、逆に要件事実をチェックすることで、制度趣旨の理解が容易になります
制度の基本的仕組みと趣旨の理解は、意外と出来ていない人が多いのですが、非常に応用範囲が広く、大切なことです。

第3に、判例をきちんと読むことができることも大きな利点です。「判例は事案を含めて理解する」ことを強調する人は、かなり多いと思います。しかし、これが曲者で、事案の概要を読んでも、判旨とのつながりがわからず、他方、一審判決を読むと膨大な主張と事実認定を咀嚼できず、混乱する、というような人が大半なのではないでしょうか?訴訟物を考え、論点を含めて要件事実を確認して、事実をあてはめる作業を地道にすれば、さほどの能力もコツも必要無く、事案を含めて判例を理解することができます

第4に、論点の位置づけが明快にわかります。繰り返し書いていますが、どの要件についての論点かがわかっていないと、意味がありません。また、要件事実を踏まえると学説分岐の意味がわかり、深い考察が可能となります。学説の論理がどこまでが同じで、分岐の理由は何か=
誰のどのような利益を保護しようとしているかがわかりやすくなるからです。学説の暗記は無意味・有害ですが、上記の思考をすることは、出題趣旨等で強調される「本件事案の特殊性」に応じた答案を書けるようになります。

第5に、事実を落とさなくなります。答案で拾うべき事実を拾えないことに悩む受験生は多いと思います。そして、その原因を「読み落とした」「気づかなかった」と分析し、「気をつけて解く」等の曖昧な精神論で解決しようとする人がかなりいます。しかし、事実を落とす最大の原因は、それをあてはめるべき要件事実を意識していないからです。受け皿となる要件事実がわかっていれば、問題文を読む(思い出す)過程で、1つ1つあてはめを行うことができるので、事実を落とす可能性がかなり低くなります。

要件事実を使って勉強することは、面倒です。そこまでやる必要はない、効率が悪い、と感じる人もかなりいると思います。
前述のように、要件事実を意識しなくてもしっかり理解でき、きれいな答案を書ける優秀な人もいます。
しかし、優秀でなく、理解にも答案作成にも苦労する人は、要件事実をツールにして、地道に着実に勉強すべき、というのが私の考えです。そうすれば、私がそうであったように、優秀でなくとも合格することは可能です。

会社法の演習-過去問で「慣れる」

会社法は条文把握が大変で、また、会社再編等、苦手になりがちな分野が多い科目です。更に、論点が比較的多く問われる科目でもあります。そのため、「演習」というより、「論点潰し」ばかりをする人が多いと思います。

確かに、1度は論点潰しをすることも有用です。
 
しかし、会社法は論点以前の条文の要件、特に訴訟類型を選択し→当事者適格・期間制限等の訴訟要件該当性を書いて→実体要件を検討し→効果を書く、という基本を押さえていない人が多い科目です。代表訴訟で原告適格を書かない、株式発行から6ヵ月以上経っているのに無効の訴えを検討する、等する人がかなりいるということです。
これを「うっかり」「不注意」で済ます人がいます。しかし、このようなことをしてしまうのは、前述の会社法の思考様式がわかっていないか、少なくとも「慣れていない」ことが原因であることが多いと思います。上記思考様式を一つ一つ踏んで、答案を書けば、間違えるはずは無いからです。
 
この会社法の(会社法に限らないのですが)基本的な思考様式を身に付けるには、演習の第1歩を過去問から始めることが非常に有益だと思います。司法試験受験生にとって、最も慣れるべき対象は司法試験の本試験問題たからです。また、本試験問題のような長文で資料も多い問題に取り組むことで、会社法紛争がどのような場面として現れるかがわかるので、後に論点潰しをする際に紛争を想定できるようになるという副次的効果も大きいです。
 
やり方にはいくつかの留意点があります。
 
第1に、出題趣旨と採点実感を読み解くことで、当該問題で何をどう書くべきかを学ぶべきであることは、他科目と同じです。その際に、参照すべきは江頭憲治郎「株式会社法 第5版 」と岡口基一要件事実マニュアル 第3巻(第4版) 商事・保険・手形・執行・破産・知的財産 」です。
基本書としては、何回も読んで会社法の全体像を掴む重要性から、伊藤・大杉ほか「会社法 第2版 (LEGAL QUEST)を進めました。しかし、本試験問題等、答案を書くことで会社法の思考様式を身に付けると共に論点の深い理解や相互関係を学ぶには、江頭・株式会社法 を参照すべきです。通読する訳ではないので、それほどの量でなく時間もさほどかかりません。非常に端的で、かつ、深い理由付けが記述されていることは、もちろんですが、非常にあてはめがしやすい説明がなされている点も見逃せません。
 
また、判例勉強の際は、判例を直接扱っていることが多いので、大江忠「要件事実会社法<1>) 」「同〈2〉 」「同(3)を薦めました。が、過去問に取り組む際は、コンパクトにまとまっていて、かつ、説明が簡明でチェックしやすい、岡口・要件事実マニュアル<3> の方が使いやすいと思います。なお、岡口・マニュアル<3> の会社訴訟分野は170頁とコンパクトな中に、要件事実だけでなく、会社訴訟全体の説明がなされているので、1度通読するとかなり会社法の「使い方」がわかります。
 
第2に、問題文を読む際は「数字」に多大な注意を払いましょう。発行済み株式数、出席株主の株式数、資本金等の金額、紛争により流出した金額、年月日等です。数字に全て赤丸を付けてもいいくらいです。
そして、それらを規制する条文(総会決議要件、配当可能利益等)をしっかりとチェックします。ここで間違うということは、訴訟類型、訴訟要件、訴訟物等全ての間違いに繋がります
 
第3に、訴訟類型を選択して、訴訟物と効果を考えましょう。当該紛争をどういう請求でどのような効果をもたらし、それによってどのような解決を図るか?という紛争解決のスタートとゴールがわからずに問題を解こうとすると、かなり的外れな答案を書く危険性が高くなります。
また、あわせて江頭・株式会社法 で、請求の効果を後始末を含めてチェックしましょう。新株発行無効訴訟が認められた場合に、当該株式はどうなるか?株主のとるべき措置は?等を確認するということです。
 
第4に、その上で攻撃防御と要件事実を考えます。民法と異なり、要件事実そのものが直接問われることはありません。しかし、会社法は問題文の事実がそもそも多い上に、実体的に不当な面と手続きが履践されていない面が同時に問題になることも多く、答案が混乱しがちです。各要件事実を念頭に、事実を主要事実、間接事実、否認(事実)に分類することで、事実をスッキリと分類できます。そうすると論ずべきことも明確になります。未整理の答案では、要件に事実をあてはめていない、論点がずれている等の理由から、「書いているのに点が悪い」ということがよく起こります。
 
会社法の要件事実を条文から抽出するのは、この段階ではまだ難しいので、岡口・マニュアル<3> を先にチェックし、その上で条文と対照すると効率的です。この際に、論点がどの要件事実についてのものかも確認します。岡口・マニュアル<3> はこの点の確認が非常にやりやすい点で、司法試験受験生向けに非常に有益です。
 
その後に、江頭・株式会社法 で当該論点についての記述を、当該項目丸ごと読みましょう。あくまでも、制度・条文を適用する上での論点なので、孤立的に勉強しても意味がないどころか有害です。特に会社法は、制度全体を俯瞰した視点を持てないと、極めて苦手な科目になってしまうので、注意が必要です。
 
第5に、他科目と同じですが、上記検討で抽出した要件事実(論点についての規範を含む)に具体的事実をあてはめます。この際に、請求原因事実・抗弁事実・否認事実に分類し、その中で、実体と手続きを分けて書きましょう。整然と整理すると論旨が明快になりますし、思考そのものもクリアになります。また、とかく混乱しがちな会社法の答案が、とても読みやすく=試験委員に受けやすくなります。


 

行政判例の学び方-個別法の解釈手法を身に付ける

まず、行政法判例に取り組む際には、百選の使用はお薦めしません。事案の概要や個別法の引用が短く、判例学習を司法試験答案・演習への第1歩と考えると、やや使いにくく、また、解説が高度すぎて読みこなすのが大変だからです。

判旨の引用が長く、解説で事案や個別法を詳しく解説してあり、櫻井・橋本「行政法 第4版(以下、「サクハシ」)と著者が同じで相性がいい、橋本博之「行政判例ノート 第3版を薦めます。
 
以下、行政法判例を学ぶ目的、具体的な読み方の順に説明します。
 
行訴法の判例は、直接には、個別法の解釈とあてはめがなされたものです。行政法総論の理論や知識を「使って」個別法を解釈するイメージです。個別法と離れた判旨も、個別法を前提としない行政法総論の理論・知識もありません。
例えば、行政裁量の問題で、判断過程統制審査をするとしても、そもそも裁量があるのか?あるとしてどのような裁量か?考慮してよい要素は何か?等は全て個別法の解釈です。条文文言、趣旨目的規定の文言、行政法総論の理論・知識を使って、解釈した結果が判旨であり、判例です中野ほか「判例とその読み方参照)。
つまり、行政法総論の判例学習の目的は、行政法総論の理論・知識を使って、個別法を解釈し、事実をあてはめる過程を学ぶことです。司法試験との関係では、基本的な答案の流れを学ぶこと、と言ってもいいと思います。
 
 
 
まず、行政法総論の判例は、先に事案の概要と判旨を一読してから、サクハシの当該判例掲載項目を丸ごと読みましょう。サクハシの記述で、当該判例の位置付け・意味付けを読んで、学習の「アタリ」をつけるためです。ここで、理解を深める訳ではありません。
 
次に、法令データ提供システム|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブを使う等して、判例の事案で問題になっている根拠法令をチェックします。この際、判旨に出てくる条文だけでなく、必ず1条の趣旨目的規定を読みましょう
 
根拠条文を特定したら、更に判旨や解説、サクハシを頼りに要件事実を抽出します。判旨から要件事実自体はわかることが多いので、それほど苦労はしないと思います。この際、岡口基一要件事実マニュアル 第4巻(第4版) 過払金・消費者保護・行政・労働を参考にするのも非常に有益です。
 
続いて各要件事実に該当する具体的事実=主要事実を、判旨・解説・サクハシから読み解きます。すなわち、あてはめをチェックします。
 
ここまでを一気にやりましょう。基本的には「考える」という作業ではなく、「読み解く」という作業ですので、それほど時間はかからないはずです(時間がかかる人はもっとサクハシ・解説・岡口マニュアルを頼りましょう)。
 
その後、改めて判旨を確認し、サクハシを読んで、当該判例がどのような理論をどのような位置付けで判示したかを学びます。上述の作業で個別法の解釈をしてから、これをやると、判旨もサクハシも冒頭でのチェックのときと全く違う捉え方を自分がしていてびっくりすることがあると思います。
 
行政救済法の判例学習も、総論のそれと基本的には変わりません。特に気を付けることのみ書きます。
 
行政救済法では、処分性や原告適格等、行訴法の解釈が問題になり、受験生はそちらに目が行きがちで、基本書も処分性等の判断定式のみを読む人が多いです。
しかし、処分性判断の基礎である当該行為がどのような効果を持つか?原告適格判断の基礎である、根拠法令は原告の利益を保護しているか?等は全て個別法の解釈です
したがって、行政法総論と同じ手順で、根拠法令をチェックして、行政法総論と救済法の理論や知識を使った個別法の解釈をしましょう。それを処分性等の判断定式にあてはめるのが救済法の判例学習の肝です。
 
また、要件事実の抽出にあたっては訴訟要件と本案勝訴要件をきちんと分けて検討しましょう。具体的には、訴えが却下か否か?の判断と、認容か棄却かの判断をきちんと分けて理解すべきです。ここが出来ていないと、「行政訴訟による紛争解決」という、救済法の基本的視点が欠落するからです。この点のチェックには、岡口「要件事実マニュアル 第4巻(第4版) 過払金・消費者保護・行政・労働が非常に便利です。
 
また、手続き問題や判決効については、民訴法の理解が前提になります。面倒でも、民訴法の基本書でその都度チェックしましょう。
 
行政判例にしっかり取り組むことは、行政法総論・救済法の理論や知識を「使って」個別法を手堅く解釈して、事実をあてはめる、訓練になります。
司法試験で行政法の点数が悪かったり、安定しなかったりする人は、このプロセスが出来ていない人がほとんどです。逆に言えば、これができれば行政法を得意科目にすることが可能です。
 


  

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