司法修習生Higeb’s blog

68期司法修習生によるブログです。法律の勉強法・基本書・参考書などの司法試験ネタや勉強ネタを中心に書いていきます。

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契約法を学ぶ(基本書・参考書)

契約法は民法の花形といっていい分野です。司法試験についても頻出ですし、実体法でも要件事実でも最も論点が多い分野です。また、実務において多彩な類型が開発されている分野でもあります。

 
契約法の勉強で留意すべき第1は典型契約をしっかりと勉強することです要件事実で強調される売買・消費貸借・賃貸借(バイショウチン)だけの勉強で満足すると、長文問題から契約の性質決定をしてから、要件該当性を論じることが必要な司法試験に太刀打ちできません。特に委任・請負はしっかり勉強しましょう
安易に非典型契約だと判断せず、典型契約での解決はできないか?をしっかり検討し、非典型契約だとしても典型契約の混合契約として解決できないかを検討することが大事です。そのために、役務提供契約たる委任・請負の理解は非常に大事です。
類型ごとに、成立要件、行使要件、終了要件、担保責任、後処理等を地道にチェックしましょう。
 
留意点の第2は、契約総論を時制を確認しつつ要件事実を押さえることを意識することです。例えば、原始的不能と危険負担、契約の成立・不成立と無効、等の概念の差異を明確に言えて、具体的事案を処理できるか?等は頭がこんがらがってしまう人がとても多いと思います。それぞれの概念を実体法理論だけでなく、要件事実の観点から整理して、理解することが大事です。
 
 
潮見・債各Ⅰは、コンパクトにまとまっており、典型契約全体を頭に入れるのに適しています。また、実務上問題となっている、民法の他分野と関連している等の論点は、やや発展的であってもしっかりと解説されており、司法試験の問題意識と重なるところが多いです。初学者や民法が苦手な人にとっては少し難しいのが難点ではあります。
 
山崎・債各は、要件事実の切り口から解釈論を展開しており、要件→効果思考が徹底的に身に付きます。内容も基本的制度や判例の深い考察をわかりやすく解説してあります。また、ロースクールのコア・カリキュラムを意識しているためか、細かい議論は無く、「基本を深く」解説されています。更に、大島眞一「完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉 」、岡口基一要件事実入門 」「要件事実マニュアル (第4版) 」との相性が良いと言う点も見逃せません。判例がかなり掲載されているため、分厚く見えますが、本文を読むだけで理解できるよう構成されているため、判例は適宜参照することにすれば量的にもコンパクトです。
 
なお、参考書としては、山本敬三「民法講義〈4‐1〉契約  」を薦めます。何でも書いてあり、しかも各説の立場からの要件事実的分析がされており、辞書的に使うには最高の本です。
 










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