過去問勉強の仕方の基本
第1に、取り組む時期は、2年生の夏休みが適当です。全科目につき授業を受け終わったタイミングで過去問を解いて、今後の勉強の深め方を考えるためです。もう少し勉強が進んでから解きたい、という人もいますが、力試しではなく、合格に向けた勉強方針を決めるために取り組むので、一応全科目の授業が終わった後、早い時期である必要があります。力試しを後にしたいのであれば、1,2年分残しておくといいでしょう。また、「勉強が進んでから」と言っているうちに、結局過去問をやれない、不充分な取り組みのまま本試験に突入してしまう人が非常に多くみられます。過去問をやるというのは、ある種の思いきりの問題です。
第2に、問題文を読んだ後は基本書・参考書を見ながら書きましょう。この段階では、何も見ずに考えることは、無理ですし時間の無駄です。問題に取り組むことで勉強することが大事です。また、後述の完全答案作成を通じて基本書の記述をどう問題への解答にカスタマイズするかを学ぶことが大きな目的です。したがって、答案構成段階から基本書を片手に解いた方が目的に適合しており、力がつきます。
第3に、答案はその時点の力での完全答案にしましょう。完全答案とは、①考えられる全ての論点に触れ、②事実をくまなく拾い上げ、③現実的な枚数に納めたものです。その検討に当たっては、出題趣旨と採点実感を熟読玩味しましょう。極論すれば、出題趣旨と採点実感を読むために過去問に取り組むイメージです。出題者が求める事項に全て触れた上、現実的な長さにすることで、答案作成力だけでなく、頭を整理し理解を深めることが大事です。この過程で要件→効果思考を徹底的に意識し、身に付けましょう。また、論証パターンの暗記がいかに無益かもわかると思います。
また、下手に様々な解説本に手を出すよりも、出題趣旨と採点実感を読み込むことが大事です。司法試験で何が問われているかが出題者によって明らかにされており、これ以上に重要な資料はないからです。
ただ、ロー生が読んですぐわかるものではないのも事実です。理解の助けには辰巳法律研究所「司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本 」を使うことをお薦めします。予備校による解説部分ではなく、優秀答案を参考にしましょう。100番以内の答案はとても参考になります。但し、丸写しはしないようにして、むしろ優秀答案を更に良いものにすることを目指しましょう。優秀答案は本試験現場で時間の制約がある中で作成されますが、過去問検討では時間無制限な上に、基本書を片手に出題趣旨・採点実感まであるので、2年生でもそれは可能です。